No.4_火達磨となれる秋刀魚を裏返す_柴原保佳
悪魔(逆)・ワンド9(逆)・ソード2(逆)
今回のカードは開いて最初に悪魔が出てきて「あっ!火達磨」と思いました。メラメラとした炎の松明を持っている悪魔に鎖でつながれている2匹の猫ちゃん。ちょっと怖いカードです。タロットカードの不吉トップ3に入る絵柄のカードかもしれません。
悪魔のカードの意味は、束縛、欲望、誘惑。私はこのカードは「わかっちゃいるけどやめられない」と解釈しています。カードの絵柄をよくよく見ると繋がれてるとはいえ鎖はゆるく逃げられそうな雰囲気があります。そして、拘束されている猫ちゃん自身が意外にもニコニコしているのです。例えば、食べ過ぎ。誰でも頭の中(あるいは無意識)では、過度の食べ過ぎは健康によくないとわかっているわけです。でも、欲望や誘惑に負けて食べちゃう。そして、食べ過ぎから起こる健康不良にいつまでも束縛されると。そんなイメージのカードです。
次のカードはワンドの9。このカードは防御とか待機みたいな意味です。ワンドは情熱や勢いを管轄しているけどこのカードでは受動的で自分から動く感じはしません。最後のカードはソードの2。これも内省的なカードです。周囲の情報をシャットダウンして自分の内側を見つめている。そして今回すべてのカードが逆位置で出てきました。
さて、順番にカードの意味を確認してきて思うところは、この俳句の中で秋刀魚を焼いている人物は、自分を縛り付けてきた内なる悪魔から解き放たれようとしているのだと思います。今まで、普通だと思っていたこと、仕方ないと諦めていたこと、それら全ては無理なことでもできないことではなかったのだと気がついたわけです。ソードの2も逆位置で、内省的な時間の終わりを暗示させています。ただ、ワンドの9があるので、その気づきを一気に行動に移せるほどには機が熟してはいないようです。気持ちの上での変化はあったけれど、状況自体は今しばらく我慢する感じです。
この俳句の火達磨の秋刀魚は秋刀魚を焼いている人の置かれた状況そのものと思うとしっくりくる感じがします。火達磨の秋刀魚を焼いている人は、今、自分自身こそが火達磨だったことを認識しました。そして、魚を焼く時に裏返す機会はたった一度です。何度も何度も返しては身が崩れてしまいます。自分自身が裏返るべき瞬間を静かに見極めている。そんなぴりっとした緊張感があるような気がします。
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