No.3_『月の』1989/2/10/Tokyo_岩本桂子

太陽 水瓶座 9室/月 牡羊座 11室/水星 山羊座 8室
金星 水瓶座 9室/火星 牡牛座 12室/木星 牡牛座 12室
土星 山羊座 8室/天王星 山羊座 7室/海王星 山羊座 8室
冥王星 蠍座 6室/ASC 双子座/MC 水瓶座


受け継いでゆくということが思い浮かびました。

この句集のチャートは8室に水星、土星、海王星の3つの星が入っていて、8室が管轄する「受け継ぐもの」というテーマを強調しているように見えます。

8室が扱う受け継ぐものには「強制的に」という側面があって、価値があってもなくてもそれを引き受けなくてはならないことが多いです。


水星が言葉、土星が伝統的なもの、海王星が感受性というように解釈すると、この句集が受け継いでいるものは「俳句」と言ってもいいのかなと思いました。

ただ、全ての句集はなんらかの形で俳句を受け継いでいると言えますので、もう少しだけ断定的に、『月の』の著者、桂子さんの師である「京極杞陽の俳句」と言い切ってしまおうと思います。


もう一つ気になるのが7室の天王星です。

7室が扱うものはパートナーシップ、例えば結婚のような関係性です。そういう部屋に変化、チャンス、個性、独創性などを司る天王星がありますので、この句集の「らしさ」というものは著者以外の誰かとの関わりによって成り立っているのかなと考えました。

歌が作曲家の作品であると同時に歌う人の作品でもあるように、『月の』は岩本桂子句集であるのと同時に京極杞陽の選句集でもあるのではないかと思ったのです。


実際に『月の』は桂子さんが杞陽と出会い、死が二人を分かつまでの間に作られたものの中から杞陽の選に入った句だけを集めたと記されておりますので、チャートをみるまでもなく杞陽との深いかかわりの中で生まれた句集と言って間違いないと思います。

そこで、今回は『月の』のチャートに京極杞陽の出生チャート(1908/2/20/東京)を重ねてシナストリーチャートも出してみました。


『月の』の海王星に杞陽の天王星がタイトに重なってきてセンスの良さを感じます。

飛躍したアイデアとか夢、理想なんかが浮かんできますし、8室で重なっていますのでこれも「受け継ぐ」ということがテーマです。

お互いの金星は60度で居心地がよく、『月の』の金星は9室なので、お互いの金星の心地よさが『月の』の芸術性を高めているということなのかなと思いました。

また杞陽の太陽はうお座の0°05'18''、『月の』の太陽はみずがめ座の21°21'25''にありますので、杞陽は『月の』の半歩先をゆく先生とか先輩という感じがあるなと思いました。


『月の』は杞陽を受け継いで、誰かが『月の』を受け継いでゆく、この句集のチャートはそんな大きな時間の流れが見えてくるようでした。

そして、きっと杞陽だって杞陽の前にあった何かを受け継いでいて、それを『月の』に手渡したのだと思います。

手渡す時、受け取る時にやり取りされたものと一緒に行き交ったであろう愛や夢や理想。

それらがきらっと光るチャートだなと思いました。

0コメント

  • 1000 / 1000