No.52_春雪の一日が長し夜に逢ふ_山田弘子



 ソードの10、ソードのキング、ペンタクルのナイト


私が伝統俳句協会の新人賞を取った時の

選者の一人が山田弘子さんでした。

細かいところは覚えていないけれど

選評が厳しめだったような記憶があります。

でも一句だけ褒めてもらえたような思い出。

一度もお会いすることはできませんでした。


カードを見ていきます。

一枚目、ソードの10。

考え切る、苦悩の夜明け。

 二枚目、ソードのキング。

大きな決断または決断できる人。

三枚目、ペンタクルのナイト。

じっくりと確実に結果を出す、または堅実な男性。


ハイクノミカタに掲載されたこの句を読んだ方が

「恋歌ですよね」と、おっしゃっていて、それではじめて

恋人と逢うっていう句だったのかと思いました。

私個人は親しい人と逢ったんだろうなくらいの解釈で

全く恋愛の雰囲気を感じていなかったんですが、

そう言われてみると確かに恋人なのかもしれないです。


もし恋ならば苦しい恋かなと思いました。

ソードの10が出ているからです。

恋ではなかったとしても追い詰められている状況のようです。

水分の多い春の雪はすぐ溶けて土が汚れてぬかるみとなる。

そんな春の雪の重苦しさがソードの10の痛みに重なります。


そしてこの句はその日の夜に誰かと逢ったと言っています。

恋人かもしれないし、そうではない誰かかもしれません。

逢いに行く人が男性なのか女性なのかも分かりませんが

ペンタクルのナイトが出ていますので相手は男性だと思います。


ソードのキングが出ているのでこのタイミングで

何か大きな決断をするんだろうなという感じがします。

もしも、恋の句としてドラマティックに妄想するなら

周囲の反対を押し切って駆け落ちを決意したとか、

道ならぬ恋を終わらせるための最後の逢瀬とか、

そんな風に読めなくもないです。


でも、そんなに恋愛に引っ張って読まなくても

転勤の打診についてのお返事とか、

吸収合併についての打ち合わせとか、

そういうことだってありそうなカードです。


どういうシチュエーションなのかは断定できませんが

悶々と悩んでいたことについて何か大きく決断できた。

そして、夜に逢った相手は男性だった。

ということがカードから読み取れる全てかなと思います。


逢いに行くまでの道は春雪のぬかるみだったかもしれません。

ただし、ペンタクルのナイトの足取りは

ゆっくりでも着実だと言うことを付け加えておきます。 

 

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