No.55 _日蝕の鴉落ちこむ新樹かな _ 石田雨圃子

ワンドの7、ソードの1、ソードの4 


一ヶ月にだいたい一回づつある新月と満月。

これの特別バーションが日蝕と月蝕だと占いの世界では考えます。

基本的に日蝕・新月は何か新しいことの始まりで

月蝕・満月は成就とか手放すとかそんなことと関連づけられます。


ちなみに2022年の蝕のスケジュールは 

5/1(部分日食)

5/16(皆既月食)

10/25(部分日食)

11/8(皆既月食)

この中で、日本で見ることができるのは11月の皆既月食だけです。


 カードを見ていきます。

 一枚目、ワンドの7。

立ち向かう、覚悟を持って挑むなど。

二枚目、ソードの1。

ソードは決断、客観性、知性などを管轄するスート。

それらの始まり、それらの純粋なエネルギー。

三枚目、ソードの4。

静かな思考、ひとやすみ。


ソードの1が出ていて、日蝕らしいなと思いました。

タロットの小アルカナではどのスートでも始まりは「1」で、

そのスートを管轄する事柄のはじめの一歩と考えます。

占いの世界では、新月は新しい始まりとされていて、

日蝕は新月のスペシャルバージョンとも言えますので、

ソードの1は日蝕と考えるとしっくりきます。


この句には日蝕が皆既日蝕なのかどうかは特定されていません。

でも「部分」とか「金環」とかの説明がありませんので、

皆既日蝕だったと考えてもいいのかなと思います。

皆既日蝕であれば辺りは夜のように暗くなったと考えられます。


だとしたら、黒い鴉は見えにくくなって、

新樹も光り輝くような色は消えて影の色になる。

夜のような暗さの中で、影の色の新樹に黒い鴉が落ちたのであれば

それはもうほぼ黒だけと言ってもいいような気がします。

日蝕の中で鴉と新樹の境目がほぼわからなくなっているのかなって。


そういう状況なのであれば、この2枚のソードは

境界線ということなのかなぁと思いました。

鴉と新樹の境界線が日蝕を境にふっと曖昧になる感じ。

くっきりしていた境目が曖昧になることで

逆に境界線を感じ始めるということかもしれません。


真っ暗な中で、鴉は鴉の新樹は新樹の境目を意識する。

それを見ている第三者の視線も境目ということを意識する。

そして境目を最も意識する時って、何かに立ち向かってゆく時なのかも。

黒の濃淡で分けられる境目が日蝕によってドラマチックに動いてゆく。

なんだか水墨画の世界みたいだなぁとも思いました。

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