No.57_さくらんぼ洗ひにゆきし灯がともり_千原草之
ワンドの2、ペンタクルの9、死神
私にとってさくらんぼはかなり高級品です。
某有名フルーツショップでの販売価格を見てみたら
桐箱入りの佐藤錦は、300グラムで税込み22,680円でした。
カードを見ていきます。
一枚目、ワンドの2。
最初の達成、将来を見通す。
二枚目、ペンタクルの9。
物質的な成功、物質的な幸せ。
三枚目、死神。 死と再生、終わり。
このカードだけ大アルカナです。
まず、大アルカナの死神に注目してみます。
死神は、名前の通り「死」を表すカードです。
もちろん必ずしも実際の死だけを指すわけではなく
「何かが終わろうとしている」ということを示唆しています。
この句では「さくらんぼ洗ひにゆきし」と言っていますので
この後、さくらんぼは誰かに食べらてしまって
その生涯を終えるということかもしれないなと思いました。
そして、もしこのさくらんぼが人生(?)の終わりに
自身の一生を振り返っているとしたら、
わりと満足しているんじゃないかなとも。
死神以外の二枚のカード、ワンドの2とペンタクルの9は
どちらも達成とか成就というような意味だからです。
とはいえ、この解釈はちょっと擬人化が過ぎる気もします。
さくらんぼが自身の命が尽きるときに
その生涯を振り返るなんてことはなさそうですよね。
ですので、もう少し現実的に考えるとしたら
さくらんぼを食べる人たちが何かを達成したのかも。
なにか良いことがあったときに少し食卓を華やかにしてみる。
そういうことはわりとよくあることだと思います。
そうだとしたら、さくらんぼを食べようとしている人が
何かの終わりを迎えたのかもしれません。
ワンドの2とペンタクルの9はどちらもポジティブですが、
ややこじんまりした感じのあるカードです。
同じ達成でも「天下統一」ではなくて「クラスで一番」くらいの感じ。
さくらんぼも、その金額だけを見ると十分高価な果物ですが、
マスクメロンやドリアンなどとはやっぱりちょっと違います。
さくらんぼにはどこまでも日常と繋がっている雰囲気があって、
そこが二枚の小アルカナのカードのイメージに重なりました。
死神の扱う「終わり」がさくらんぼのことなのか
さくらんぼを食べようとしている人たちのことなのか
考えてはみたものの、結局結論は出せませんでした。
ただ、どちらにしても良い終わりだったと思います。
そして、洗いに行った人がつけた灯。
これがはじまりの合図なのかなと思いました。
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